障がい者の働き方が変わる!【就労支援施設との併用へ】

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書いた人:職業指導員 山口


障がい者の方にとって働くときに気にかかる一つに「就労時間」という問題があります。


体力的・精神的にフルタイムで働くということが難しい人は多いんです。


「一日4時間なら働けるのに」


「週に3日から働けないかな」


こういう悩みをよく聞きます。


そんな悩みを厚生労働省も問題視しているようです。


そこで今回は2021年に厚生労働省で方針が固まった障がい者就労について、雇用と福祉の併用に関してまとめたいと思います!


障がい者の働き方が変わる!


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2021年6月4日に厚生労働省は「企業の雇用」と「就労支援施設への通所」を併用できるように方針を固めました。


現在のシステム上でも、企業と就労支援施設との併用は一応、可能ではありました。


しかし現実は雇用されるなら就労支援施設は卒業という形が「普通」だったようです。


いわゆる可能ではあったけど、グレーな部分だったんですね。


なぜこのようなことが話し合われたかというと、週に20時間未満の就労時間の障がい者を雇う企業にとってメリットが少ないからです。


週に20時間未満の就労時間では、企業の障害者雇用促進法での雇用実績に算定されないため雇用するメリットが少ないのです。


しかし実際に週に20時間未満で働きたいという障がい者の人は多くいます。


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出典:第106回労働政策審議会障害者雇用分科会資料より


ちょっと古いデータではありますが、精神疾患を持っている障がい者の方を中心に20時間未満の就労時間で求職する人の多さがわかります。


そこで厚生労働省が考えたのは、企業が算定できる障がい者の就労時間を見直すということのようです!


そうすれば企業が障がい者雇用の算定ができ、働くことができる障がい者の方が増えるということですね!


そして就労時間が少ない分は就労支援施設に通うことで訓練を継続できる。


企業にとっても障がい者の人にとっても、良さそうな方針ですね!


ここで筆者が考えたメリット・デメリットをまとめてみます!


企業と就労支援施設の併用のメリット


企業と就労支援施設との併用によるメリットは以下のようにものと考えます。


☑ 企業で働く障がい者の方が増える

☑ 障がい者の方の相談できる人が増える

☑ 就労支援施設で訓練すべき内容が明確になる

☑ 企業と就労支援施設との関係性が深まる



日本は障がい者雇用を促進する方向で動いています。


以前よりも障がい者の方企業で働く「働きやすさ」は改善された部分はあるでしょう。


しかしそれでも、障がい者の方が働くことで悩むことを相談できずにいるケースはまだ多いのではないかと考えています。


そんな時に就労支援施設の人に相談したり、仕事を通じて何を訓練すべきかより明確になったりするのではないかと思います。


また企業と就労支援施設がより連携することにより、障がい者雇用が今よりも普及する可能性も高くなるのではないでしょうか。


企業と就労支援施設の併用のデメリット


企業と就労支援施設との併用によるデメリットは以下のようにものと考えます。


☑ 企業の中で任せられる仕事が少ない

☑ 賃金が少ない


筆者の知人は障がい者雇用で働いていました。


その人は週4勤務だったのですが、勤務時間が短かったり体調が悪い場合などもあり、なかなか重要な仕事を任せてもらえませんでした。


向上心の高い人だったのですが、誰にでも可能な事務仕事しかなくて悩んでいたということがありました。


日本はまだまだ能力給ではなく時間給での考え方がメインです。


能力が高くても就労時間が短いことで任せる仕事が少なくなることは考えられます。


さらに時間給ベースの考え方だったら、どうしても賃金は少なくなると考えられます。


2018年に調査された障がい者雇用の平均給料のデータが以下になります。

  • 身体障がい者の平均給与:21.5万円
  • 知的障がい害者の平均給与:11.7万円
  • 精神障がい者の平均給与:12.5万円


週20時間未満の就労時間を望む障がい者の中で、最も多いのは精神障がい者の方です。


障がい者雇用では1日8時間フルタイムで働く方もいますが、週4日で1日通院という人も多くいます。


週20時間未満となると8時間勤務だとしたら2.5日分しか働けません。


そうなると給料が障がい者雇用の平均よりも少なくなるのは目に見えてますね。


現状、障がい者雇用のみで生活することも、一人暮らしの方は難しい人も多くいると思います。


もしも20時間の就労を認めて企業が算定できたとしても、障がい者の方々の生活をどう支えるのかも重要になりそうです。


終わりに


いかがでしたでしょうか?


筆者は、企業と就労支援施設が併用できることに関してはメリットの方が大きいと思います。


百聞は一見にしかず…働く中で見えてくるものも多くあって障がい者の方にとってより将来に役立つのではないかと思いますし。


それにB型の就労支援施設のフライトが、企業と組めたらと思うとワクワクしますしね!


ただ現在もそうですが、障害年金を受給できずに生活が苦しい人も多くいます。


雇用を促進することはとても重要です。


ただ働きに出ても生活できないような賃金だと、どうしても精神的に苦しむことになると思います。


なんとか障がい者の方々の生活を支えるような取り組みも、一層進んでほしいなと感じています!

この記事を書いた人

職業指導員 山口

藤沢駅徒歩2分の場所にある就労継続支援B型施設フライトの職業指導員。理学療法士として病院勤務後、福祉関連の仕事を通じて就労支援の道へ。作業内容や福祉制度、個人的な悩みなどなんでも相談してください!